食中毒にご注意ください
食中毒(腸管感染症)とは?
通常の腸管内は、腸内細菌やウイルスが住みついており、健康な成人の場合には、これらがバランスを取りあっているので、なんら支障は起こりません。
しかし、病原体に感染することにより発熱、腹痛、嘔吐、下痢などの腸管の急性期症状が発現し、腸管感染症となります。
飲食により発生した腸管感染症は食中毒と呼びます。
特に初夏から秋に、日本は高温多湿となり、病原体が繁殖しやすく、食中毒の発生件数も増加します。
食中毒(腸管感染症)を起こす病原体
夏に起こる腸管感染症に関与する病原体は主に食中毒菌です。
代表的なものは、カンピロバクターやサルモネラ、O157に代表される病原性大腸菌などが挙げられます。
これらの食中毒菌は、発症の仕方によって、以下の3つの型に大きく分けられます。
生体外毒素型・・・・食べ物に菌が取り付いて増殖し、毒素を産生する。
食べ物とともにその毒素が体内に入ることで病原性を発揮する。
(食べ物の中で産生された毒素が腸内で悪さをする。)
黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌など。
感染毒素型・・・・・・食べ物と一緒に体内に入り、腸管の内腔の表面に取り付いて増殖し、
毒素を産生することで病原性を発揮する。
(腸の内腔の表面に取り付いた病原体が毒素を産生し、悪さをする。)
腸炎ビブリオ、O157を含む病原性大腸菌など。
感染侵入型・・・・・・食べ物と一緒に体内に入り増殖する。
さらに腸管壁に侵入して組織を壊すことによって病原性を発揮する。
(病原体が腸管壁に入り込み、細胞を壊して悪さをする。)
カンピロバクター、サルモネラなど。冬場に多くみられるノロウイルスもこの型。
【主な食中毒菌の種類とその特徴】
- 黄色ブドウ球菌
- ボツリヌス菌
- 腸炎ビブリオ
- ウェルシュ菌
- 病原性大腸菌
- サルモネラ
- カンピロバクター
- ノロウイルス
【潜伏期間】 2~4時間
【特 徴】 人ののどや鼻、傷口などに日常的にいる菌。それが人の手を介して食品に感染します。
【感 染 源】 おにぎり、サンドイッチなど素手で調理した食品。
【症 状】 胃のむかつき、激しい嘔吐に続き、腹痛、下痢が起こります。
おおむね1~2日で回復します。
【潜伏期間】 12~36時間
【特 徴】 酸素のあるところでは増殖できないため、真空パック入りの食品が原因になることもあります。
【感 染 源】 真空パック、缶詰、ビン詰めの食品や発酵食品など。
【症 状】 物が二重に見える、食べ物を飲み込みづらくなる、発声障害、呼吸困難など。
【潜伏期間】 10~20時間
【特 徴】 初夏から秋にかけて海水の温度が高くなる時期に発生します。
増殖が早く、二次感染を起こしやすい。真水や熱に弱いので調理器具をよく洗い、
熱湯殺菌すると効果的です。
【感 染 源】 刺身など生の海産の魚介類。
【症 状】 水溶性の下痢、発熱。特に腹痛が激しく、しびれやチアノーゼが出ることもあります。
【潜伏期間】 8~22時間
【特 徴】 加熱処理後、放置していると再び増殖します。その都度加熱を十分にすることが有効です。
【感 染 源】 カレー、シチューなど肉類の煮込み料理。
【症 状】 腹痛、下痢、ときに嘔吐も起こります。
おおむね1~2日で回復します。
【潜伏期間】 2~8日間
【特 徴】 O-57はこの菌の一種です。肉の調理過程で汚染されます。手洗い、加熱、調理器具の殺菌、
乾燥が有効。
【感 染 源】 牛肉(特に内臓)、加工食肉製品、水耕野菜。
【症 状】 下痢、血便、激しい腹痛。放置すると意識障害や尿毒症が起こることがあるため
早期からの観察が必要です。人への感染の可能性もあるので注意を要します。
【潜伏期間】 6時間~2日
【特 徴】 増殖が早い。卵の場合、白身に存在しますが古くなると黄身にも侵入します。
熱に弱いので加熱で殺菌可能です。
【感 染 源】 卵や肉など。犬や猫などのペットからの感染も。
【症 状】 発熱、血便、腹痛など。
【潜伏期間】 2~7日
【特 徴】 主に食肉に多く発生します。食肉は加熱、飲料水は煮沸して滅菌します。
【感 染 源】 レバ刺し、鶏肉、不完全消毒の飲料水など。犬や猫などのペットからの感染もあります。
【症 状】 頭痛、腹痛、発熱、下痢、血便など。
【潜伏期間】 1~2日
【特 徴】 冬から春にかけて多く発生します。人から人へ感染することから集団発生も多い。
加熱と次亜塩素酸消毒が有効です。
【感 染 源】 生カキ、不完全消毒の飲料水など。
【症 状】 激しい嘔吐と下痢が起き、頭痛、発熱、のどの痛みなど、
かぜと似た症状が現れることもあります。
嘔吐物には直接触れないよう注意します。